宮古ブルーへと誘う横道

宮古島の見どころは当然オーシャンビューであり、内地のほうはさして面白いとは言えない。
サトウキビ畑が見渡す限り続いており、どこまで進んでもコピーアンドペーストしたように同じ風景である。
その点においては本州の田舎の風景と大して変わらない。しかし、そんな道のりであっても、マラソン大会の給水所のようにご褒美を得られる瞬間がたまにあるのだ。
延々と続く田園風景の切れ目、畑と畑の境目に、海に向かうための横道がある。
数百メートルほどの綺麗な直線と、穏やかに上下へとくねった坂道。規則的に立てられている古びた電柱は海を消失点に奥行きのあるパースペクティブを描いて、宮古ブルーの海に引力を発生させる。海へと誘うその横道を目にした瞬間の胸の高まりは、海を眺めたときの感動とはまた別物である。
それは自分が片思いしている相手がほんの一瞬見せた普段とは違う表情にドキリとするのと似ている。